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名古屋地方裁判所 昭和44年(ワ)1449号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>を総合すると、次の事実が認められる。

(一) 本件事故現場は豊橋市南栄町字東山二二〇番地附近を南北に通ずる国道二五九号線と、同所においてこれと直角に交差する道路(同市北山町から同市中野町に通ずる道路)との信号機の設置された交差点北側である。右国道は歩車道の区別のない巾員17.4米の舗装平担な道路で見とおしよく、中央線(白線)及び左側部分は白線により車両通行帯の標示が存し(但し、中央線は交差点北の部分は明白でない)、速度制限四〇粁の規制があり、右東西道路は、交差点東側部分は幅員一〇米、西側部分は6.5米である。右交差点の入口四カ所には道路鋲により標示された横断歩道が設置されている(但し、北側横断歩道の西側半分には鋲が殆んどない)。右交差点周辺は市街地で交通ひんぱんな場所である。

なお、右交差点北側横断歩道の西北には南栄郵便局が存する。

(二) 原告は前記日時右郵便局で所用をすませた後、同局前から被害車に乗車して国道上で転回して国道を南進しようとした。ところで、国道の信号が青のときは、国道上を南北に進行する車両のため、これを横断することは不可能の状態であつた。そこで原告は、被害車を東に向けてこれに乗車し、交差点南側に設置しある信号(国道走行車両の規制信号)が黄色になるのを待ち、これが黄色を表示すると同時にUターンすべく発進した。

(三) 他方、被告加藤は国道を北進し時速約四五粁で本件交差点にさしかかり、その少し手前で対面信号を確認したところ青であつたのでそのまま交差点に進入し交差点北側の横断歩道附近に至つたとき、(二)の如く加害車の左斜前方約九米から自己の進路上に被害車が発進し来るのを認めハンドルを右に切り急ブレーキをかけたが及ばずして加害車と被害車とが衝突するに至つた。

被告は、本件事故は、あげて原告の過失に基づいて発生したものであり、同被告は無過失である旨主張する。なるほど、被告加藤が本件交差点に進入する手前で対面信号を確認した時点では右信号は青であつたものと認められるが、前記(一)の交差点の状況(距離関係)、(二)認定の如く、原告は南北信号が黄色に変つた途端に発進したものであること、同被告自ら認めるように進入時点においては信号を確認していない点からすると、加害車が本件交差点に進入する直前或はこれと同時に右信号は黄色に変つたものと推認することができるのである。およそ、信号機の設置された交差点に青信号の表示により進入する場合であつても、進入寸前或いは同時に青信号が黄色に変るような時期に進入した場合にはともすると、交差する道路上(自己の進路上)を右黄色信号と同時に軽車両或いは歩行者が横断を開始することが少なくないのであるから(しかも、同被告は、右郵便局前の路上に多くの人がいることを認め、かつ被害車にまたがつた原告にも気付いていたことが明らかである)、かような場合には自動車運転者としては、対面信号の青色が黄色に変る時点をも考慮に入れ、場合によつては交差点進入をさし控え、或いは交差点北側の歩行者、軽車両の有無、動静に注意し、進入に際し減速し、或いは警音器を吹鳴する等して時宜に即した措置をとり、以つて自車の進路上をよぎる軽車両等の安全を確保して、交差点に進入すべき義務あるものと解する。しかるに同被告はこれを怠り、前記の如く交差点の少し手前で対面信号が青であることを確認したのみでまん然交差点に進入したことが明らかである。したがつて、本件事故は主として原告の過失に起因して発生したとなさねばならならないことは後記のとおりであるが、同被告にも若干の過失はあるものというべく、さればこの点に関する被告の主張はとることができない。

尤も、前記(二)の如く、原告は、国道上の走行車を規制する信号が青色から黄色に変つたことのみにより発進を開始したものであり、この点原告の重過失となさねばならないことは、また、多くを説明するまでもないのである(さらに原告は交差点に対する交通の安全を確認してUターンすべき注意義務を怠り、国道上を北進し来る車両の有無、動静に全く注意しないで、まん然発進した点の過失も指摘されねばならない)(<証拠判断略>)

以上の如く、本件事故は、ひつきよう、原告の重過失に被告加藤の過失が競合して発生したものというべく、原告の過失と同被告の過失との割合は、おおよそ七対三とするのが相当である。

(可知鴻平)

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